デフォルトルーティング
ルーティングテーブルを作成していく上で、デフォルトルーティングの理解は必須になります。
デフォルトルーティングとは、パケットの転送先を選択するルーティング方式の一つで、自ら宛先を判断できないパケット(ルーティングテーブルにエントリーがないネットワーク宛のパケット)の転送先をあらかじめ指定しておく方式です。
また、そのときの転送先となる機器を「デフォルトゲートウェイ」と呼びます。
それぞれのルータが世の中に存在する全てのネットワークを把握していれば、デフォルトルーティングという方式はいらないわけですが、インターネットに接続する場合、そこにあるネットワークの数は膨大になるためそれは不可能と言えます。
つまり、デフォルトゲートウェイとは言うなれば、所属するネットワークからインターネットへ接続する際に使用するパケットの「出入り口」になります。
デフォルトルートの定義
下図のようなネットワーク構成を例にして、デフォルトルーティングの設定をしてみます。
「PC A」からインターネットに接続することを目指し、RouterAを設定します。
ルーティングテーブルにデフォルトルートを追加するには、スタティックルートを追加するときと同じでip routeコマンドを使用します。
RouterA(config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 172.16.0.200
宛先ネットワークアドレスとサブネットマスクの両方に0.0.0.0を指定することでデフォルトルートを設定したことになります。
ルーティングテーブル出力結果RouterA#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is 172.16.0.200 to network 0.0.0.0 C 172.16.0.0/16 is directly connected, FastEthernet0 S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 172.16.0.200
黄色で網掛けした部分の英語を直訳すると「最後の手段のゲートウェイは172.16.0.200」となります。
また、最後の行(水色で網掛けした部分)の「S」に「*」がくっついていると思います。
この「*」は現在有効なデフォルトゲートウェイであることを示しています。
ip classlessコマンド
現在世の中に出ているルータのほとんどはクラスレスルータです。
通常、Ciscoルータもクラスレスルータとして動作していますが、IOSのバージョンが古いとデフォルトではクラスフルルータとして設定されています。
クラスフルルータとして動作している場合、ルーティングテーブルにないネットワークアドレスを宛先としたパケットを受信した場合、そのパケットを破棄してしまいます。
つまり、デフォルトルーティングを使用する場合は、クラスレスルータとして動作させる必要があります。
クラスレスルータとして動作させるためにはip classlessコマンドを使用します。
RouterA(config)#ip classless
逆に、クラスフルルータとして動作させるためにはip classlessコマンドを無効にします。
RouterA(config)#no ip classless
現在は、クラスレスアドレッシングが採用されているため、クラスレスルータとして動作させるのが一般的となっています。