アドミニストレーティブディスタンス
ルーティングプロトコルは複数の種類が存在することを前回の記事で紹介しました。
特にCiscoルータは、独自のルーティングプロトコルも搭載されているので対応しているルーティングプロトコルの数は多いと言えます。
そのため、ひとつの管理下(自律システム内)に複数のルーティングプロトコルが共存するケースも考えられます。
そこで出てくるキーワードがアドミニストレーティブディスタンスです。
アドミニストレーティブディスタンス
Ciscoルータは複数のルーティングプロトコルに対応しており、1台のルータに複数のルーティングプロトコルを有効にすることが可能です。
もし2つ以上のルーティングプロトコルが稼働していた場合、それぞれのプロトコルが算出する最適経路は異なることがあります。
そのとき、どのルーティングプロトコルが算出した経路を優先させるのかを決定する基準が必要になります。
その基準値をCiscoはアドミニストレーティブディスタンス値と呼んでいます。
アドミニストレーティブディスタンス値は0~255の範囲で定義され、値が小さいほど信頼度が高くなり優先されます。
アドミニストレーティブディスタンス値
経路情報源 | 値(デフォルト) |
---|---|
直接接続 | 0 |
スタティックルート | 1 |
BGP(外部) | 20 |
EIGRP(内部) | 90 |
IGRP | 100 |
OSPF | 110 |
IS-IS | 115 |
RIPv1、v2 | 120 |
EIGRP(外部) | 170 |
BGP(内部) | 200 |
不明 | 255 |
上表はCiscoルータのデフォルトのアドミニストレーティブディスタンス値です。(アドミニストレーティブディスタンス値は手動で変更することも可能です。)
まずはオレンジの部分をおさえておきましょう。
最も優先されるのはルータと直接接続されたネットワークへの経路です。
ルータが直接接続しているネットワークであるため、それが常に最適な経路であることは当然です。
各ルーティングプロトコルのいずれかとスタティックルートの2つを設定するケースは多くあります。
スタティックルートはネットワーク管理者が手動で設定するものなので、どのルーティングプロトコルよりも優先されます。
ルーティングプロトコルでは判断できない特別な事情がある場合、ネットワーク管理者が手動でルートを設定します。