RIP設定
RIPはディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルであり、隣接ルータと定期的にルーティングテーブルを交換し合うことで経路を決定します。
RIPの主な特徴
- ディスタンスベクタ型である。
- ルーティングアップデートは30秒ごとに送信される。
- メトリックはポップカウントのみ。
- ポップカウントが16になった場合、パケットは破棄される。
RIPの設定
RIPはrouter ripコマンドによりRIPを有効にし、networkコマンドでルーティングプロトコルを有効にするネットワークのネットワークアドレスを指定することで動作します。
実際に、下図のようなネットワークを構築し、各ルータにRIPの設定をしてみます。
RouterA設定
RouterA(config)#router rip RouterA(config-router)#network 172.16.0.0 RouterA(config-router)#network 172.31.0.0
networkコマンドでは直接接続されているネットワークを指定します。
RouterAは「172.16.0.0」と「172.31.0.0」ネットワークに直接接続されているので、networkコマンドでその2つのネットワークをRIPプロトコルの動作対象に含めます。
RouterB、RouterCに関しても同様です。
RouterB設定
RouterB(config)#router rip RouterB(config-router)#network 172.16.0.0 RouterB(config-router)#network 192.168.0.0
RouterC設定
RouterC(config)#router rip RouterC(config-router)#network 172.31.0.0 RouterC(config-router)#network 192.168.1.0
※networkコマンドでネットワークアドレスを指定するときサブネットマスクやワイルドカードが必要ないということに注意してください。
以上で、RIPの設定は完了です。
RIPは30秒ごとにアップデートを送信しているため、ルーティングテーブルが最新になるまで(コンバージェンスするまで)若干時間がかかるときがあります。
では、各ルータのルーティングテーブルを確認してみます。
RouterA#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set C 172.16.0.0/16 is directly connected, FastEthernet0 C 172.31.0.0/16 is directly connected, Ethernet0 R 192.168.0.0/24 [120/1] via 172.16.0.100, 00:00:03, FastEthernet0 R 192.168.1.0/24 [120/1] via 172.31.0.100, 00:00:04, Ethernet0
RouterB#show ip route ~省略~ Gateway of last resort is not set C 172.16.0.0/16 is directly connected, FastEthernet0 R 172.31.0.0/16 [120/1] via 172.16.0.200, 00:00:12, FastEthernet0 C 192.168.0.0/24 is directly connected, Ethernet0 R 192.168.1.0/24 [120/2] via 172.16.0.200, 00:00:12, FastEthernet0
RouterC#show ip route ~省略~ Gateway of last resort is not set R 172.16.0.0/16 [120/1] via 172.31.0.200, 00:00:05, Ethernet0 C 172.31.0.0/16 is directly connected, Ethernet0 R 192.168.0.0/24 [120/2] via 172.31.0.200, 00:00:05, Ethernet0 C 192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0
オレンジの行の先頭に”R”というアルファベットが記載されています。
“R”は「RIP」を表しており、RIPによって学習したことを意味しています。
ルーティングテーブルは正常に作られているようです。
では、「PC A」から「PC B」にpingを投げてみます。
C:\Users\gran>ping 192.168.1.1 192.168.1.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ: 192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=61 192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=61 192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=61 192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=61 192.168.1.1 の ping 統計: パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、 ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒): 最小 = 1ms、最大 = 2ms、平均 = 1ms
正常にICMP応答を受信できています。
スタティックルーティングの設定と比べ、RIP設定は少ないコマンドで手早く完了したことを実感できたのではないでしょうか。
ルータの数、ネットワークの数が増えるごとにその差は顕著になっていくことが想像できるかと思います。
このことが、RIPなどによるダイナミックルーティングの大きな利点となります。